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本製品はさまざまな前臨床試験を行って十分安全性を確認したうえ、平成30年4月1日に施行された臨床研究法の定めに基づき、名古屋大学を中心とした複数の臨床研究施設において実際に患者さんの体内に心臓サポートネットを植え込む手術を行う臨床研究を実施することとなりました。
(臨床研究施設)
・名古屋大学医学部付属病院
・東北大学医学部付属病院
・大阪大学医学部付属病院
・慈恵医科大学医学部付属病院
・東京大学医学部付属病院

これらの施設において現在臨床研究に参加される患者様を募集しております。(詳しくは『臨床研究への参加について』のページをご覧ください

試験の目的

過去の心臓サポート型治療機器では、1) 患者様毎の最適化設計がなされていない、2) 右心室の拡張障害を来していたという2つの問題点がありました。この試験の目的は、拡張型心筋症の患者様を対象とし、上記の問題点を改良した新しいサポートネットの安全性と有効性を確認・評価することです。
具体的には心臓外科手術によって心臓に装着し、その安全性と有効性を確認・評価します。有効性は、拡張した左心室の拡大を抑制する効果と心機能の改善、自覚症状(NYHA分類)や生活の質(QOL)の改善を調べます。なお、主要観察期間は術後半年(24週)ですが、術後2年までフォローアップ観察を行います。

試験の方法について

(1)試験の流れ

この臨床試験では、同意いただいた患者様に先ず、手術前に症状を確認する観察、検査を行います。その検査の中には心臓カテーテル検査、MRI又は造影CT検査があります。その検査データ、心臓画像からあなたに最適なネットを設計し、テイラーメイドで試験機器を製造します。手術後には試験機器の安全性と有効性を確認させていただく為に、手術前と同様の観察、検査を行います。手術後半年(24週)でその評価、判定を行いますが、手術後2年までフォローアップ観察、検査を実施させていただきます。なお、あなたの生存と健康状態は、手術後5年まで調査させていただきます。

(2)使用する医療機器(試験機器)について

(過去の類似医療機器の問題点・短所)
1) 手術中に患者様の心臓の大きさにあわせて、ネットの切断と縫い合わせが繰り返し行われ、ネットの大きさを調整する必要がありました。従って、手術者によるネットの個体差が生じやすく、心臓に対するネットの保持力の強弱に問題が生じる恐れが考えられました。

2) 右心室と左心室を同じ圧力で抑えるため、左心室のリモデリングを防止するのに必要な圧を左心室表面にかけると右心室の拡張能が障害され、心拍出量が低下することが後に動物実験やコンピュータ・シミュレーションで明らかになりました。

(試験機器の概要)
試験機器(テイラーメイド方式心臓形状矯正ネット)はメッシュ状のネットで、コンピュータ編み機を用いて患者様の心臓に合わせてテイラーメイド方式で製造されます。このネットに使用されている材料のポリエステル糸は、インプラント医療材料で広く使用され、生体適合性があり安全性の高い材料です。

具体的には患者様の心臓MRI もしくはCT 画像から3 次元心臓形状モデルを作成し、心臓カテーテルデータと組み合わせることにより、心機能を最適化するように設計されています。

本試験機器である心臓形状矯正ネットは、Acorn Cardiovascular社が2001年に欧州で認可(CE-Mark)を取得し、実際に臨床の場で用いられていた類似医療機器(CorCap) とは以下の点で大きく異なる製品です。テイラーメイド方式で設計・製造することで術中の調整を不要とし、さらに右心室部分を穴あき構造とすることで、右心室の拡張機能悪化を回避するとともに左心室に対して充分な着圧がかかる構造になっています。従って本ネットを心臓に装着することにより、心不全悪化の主な原因である左心室の心拡大(心臓リモデリング)の進行を抑制し、心機能を改善する効果が期待できます。

下図に、類似医療機器(Acorn CorCap)と右室拘束軽減型の試験機器の外観図と心臓装着図を示します。

(3)試験機器装着手術

十分な経験を持った心臓外科医が手術により試験機器を装着します。

手術は全身麻酔下に胸部の皮膚を切開し、胸骨を縦に切開し、心臓を包んでいる心膜を切開し、本試験機器(心臓形状矯正ネット)を心臓表面に装着します。心臓の上端(心基部)とネット上端、右室穴あき部分がずれないように糸で縫合します。試験機器の装着手術時間は30分程です。装着後に心臓エコー検査、両心室圧測定を行い、心臓形状矯正ネットの効果を評価します。その結果かえって心拍出量が低下したと判断した場合は、サイズの大きな心臓形状矯正ネットへの変更を行います。

心臓の機能を評価し、問題なければ、心膜を部分的に閉鎖し、胸骨を再縫合、創を閉鎖して手術を終了します。心臓ネットの装着以外は通常の心臓手術と同じ操作になります。尚、この手術で人工心肺は使用しません。 通常4週間ほどで心外膜と試験機器は癒着し、一体化するのでそれ以降は外すことは困難になります。従って試験機器は一旦装着されますと、原則、取り外すことはありません。生存期間中、進行性の心拡大を防止するため機能し続けます。

ただし、手術後の入院期間中に感染などが起こり、試験機器の取り外しが必要と判断された場合は、試験機器の取り外しを行う事もあります。通常感染性の縦隔炎・心嚢炎は術後2週間前後に発症します。この段階では試験機器の取り外しは比較的容易と考えられます。感染の発症リスクは術前状態、病院毎に異なりましが、本試験機器の手術時間は短時間なので感染のリスクは非常に低いと考えています。

(4)術後の経過

手術後、あなたは一般的に麻酔切れや意識の回復につれて、集中治療室(ハートセンター)に移ります。家族の方は、手術後、1~2時間程でハートセンター(循環器集中治療室)にて、あなたに面会する事ができます。あなたの体には安全性の確保、手術からの効果的回復の為に、カテーテルや人工呼吸のための気管チューブが取り付けられます。さらに、ハートセンター入室中、生体モニターにより、心拍数、血圧、体温を監視します。心不全の悪化や新たな不整脈の発生には特に注意を払います。致死的不整脈が発生した場合は、抗不整脈薬治療を行うと共に、植え込み型除細動装置の装着を考慮します。

一般的に、ハートセンターの入室期間は、1~2日間で、入院日数は、14日間程度と予想されますが、これはあなたの状態に依存します。

入院期間中、手術時の切開部分にはいくらかの不快が起こる事はあります。痛みの強い患者様には、痛みを和らげる為に、薬物を処方いたします。

(5)術後遠隔期における問題点

ネットを留置することで、将来の冠動脈バイパス術が困難になる可能性があります。本試験機器は特発性の拡張型心筋症の方をの適応とし、過去に冠動脈バイパス術を受けた患者または冠動脈バイパスが予定されている患者は除外しています。従って本試験機器移植後に冠動脈バイパス術が必要となる可能性は低いと考えられます。

先行品(Acorn CorCap)の治験において、術後に心臓移植となった症例で心膜とCorCapの間の癒着が高度で剥離できず、CorCapを心膜側に残して剥離し、心臓移植を行ったという報告があります。従って心臓移植の際には出血量が増える可能性があります。

植え込み型の補助心臓装置が装着された報告もあり、この症例ではCorCapにより心臓表面が強固となり補助心臓装置の脱血管を固定しやすかったと報告されています。従って補助心臓装置装着時のリスクに関して影響は少ないと考えています。

試験のスケジュール

この臨床試験は次ページの「主な検査スケジュール表」のとおり行います。

試験参加に同意された後、試験に参加いただけるかどうかを確認するための事前の検査、画像診断を行います。なお、同意前に同様の検査、画像診断が実施されている場合には、そのデータを使用して確認することもあります。試験機器の装着には外科手術が必要なため、入院での治療となります。術後の来院スケジュールは、術後4週、12週、24週、1年、2年となります。また、あなたの生存および健康状態などは術後5年まで調査いたします。なお、試験の参加を中止する場合にも、健康状態や安全性を確認するための検査を受けていただきます。

実施する検査は、試験機器の安全性と有効性を確認するためのものです。この臨床試験だからという特別な検査はありませんし、あなたの病気に対して一般的に行われる範囲内で行います。ただし、通常診療での検査に比べ、心臓カテーテル検査とそれと同時に行われる心筋生検(あなたの状態に応じ任意に行います)の回数が増えるなど検査回数は少し多くなります。なお、ここに記載された以外にも、あなたの病気の状態により、担当医師が必要と判断した場合には追加の検査を行うことがあります。
主な内容と目的は次のとおりです。

1) 安全性確認のための検査
・バイタルサイン検査 : 体温、血圧、心拍数を測定します。
・12誘導心電図検査 : 心臓のリズムを記録します。
・ホルター心電図検査 : 24時間の心臓のリズムを記録し、不整脈を監視します。
・血液検査:貧血、炎症反応の有無、腎機能や肝機能異常を評価します。
*血液一般検査:WBC、白血球分画(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)、RBC、HB、HT、PLT
*血液生化学検査:CK,CK-MB,CRE,AST,ALT,γ-GTP,T-Bil,ALP,LDH,BUN,TP,Alb,UA,TG,T-Cho,HDL-C,LDL-C,GLU,Na,K,Cl,CRP
*血液凝固・線溶系検査:PT、APTT、FBG(術前のみ実施)
*BNP
・画像診断(MRI又はCT、胸部X線、心エコー、心臓RI検査、心臓カテーテル)
*画像診断検査にて、試験機器AK-01の安全性と有効性の確認を行います。

2) 手術適応判定および有効性確認のための検査
・NYHA分類とINTERMACS Profileの調査 : 自覚症状の改善を確認します。
・胸部X線検査 : 心胸郭比を算出し、心臓リモデリング防止を確認します。
・呼吸安定性検査 : ホルター心電図検査と同時に検査し、呼吸状態を確認します。
・心エコー検査(経胸壁) : 左室駆出率(LVEF)などを算出し、心機能の改善を確認します。
・経食道心エコー検査 : 術中に用い、心臓ネット装着前後の心機能を評価します。
・BNP : 血液検査により、心不全の重症度の改善を確認します。
・6分間歩行試験 : 6分間での最大歩行距離を測定し、運動能力の改善を確認します。
・心肺運動負荷試験 : 自転車こぎ運動により、運動能力の改善を確認します。
・QOL評価 : ミネソタ質問票、EQ-5D質問票に結果を記入いただき、生活の質の改善を確認します。
・心臓カテーテル検査 : 右心室・左心室の圧や心拍出量を測定し、心機能を評価します。
・心筋生検 : 心臓の筋肉の小さなかけらを特別な鉗子でかじり取り、顕微鏡で観察することで拡張型心筋症の診断と状態を確認します。任意検査となります。
・冠動脈造影検査 : 心臓を栄養する冠動脈に狭窄がないかを術前に確認します。
・心臓RI検査 : 微量の放射性同位元素(アイソトープ)を血管の中に注入し、心機能や心臓を支配する交感神経の状態、心筋細胞障害を評価します。

試験中に制限される薬・治療

試験機器は、薬物、食事、運動推奨に取って代わるものではありません。試験機器の治療により心不全の悪化を防ぎ、心機能を改善する事を目的としています。試験参加前に行っていたとおり、薬物治療、食事・運動療法等の心不全管理は継続していただく必要があります。

<併用禁止療法>
試験機器の装着手術時には、他の心臓手術を併用する事は禁止しています。

<併用禁止薬>
併用禁止薬の設定はありません。試験開始前から服用している心臓治療薬はそのまま継続服用して下さい。術後症状により心臓治療薬は担当医師の判断により減薬、変更等をされる事もあります。

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