FIH
臨床研究(FIH)の結果
Overview
研究の概要
拡張型心筋症患者を対象とした
心臓アシストネットの臨床POC
本臨床研究は、左室拡張をきたした拡張型心筋症患者に対し、心臓リモデリングの進行を防止する目的で開発された「テイラーメイド方式右室拘束軽減型心臓形状矯正ネット」の安全性の評価を主体とした、多施設共同の臨床研究(First In Human:FIH)である。
jRCTs042180025:拡張型心筋症に対するテイラーメイド方式心臓形状矯正ネットの臨床試験
主要評価項目は、本試験機器の安全性を評価する事であるが、副次評価項目として心機能の改善、左室リモデリング防止、QOL の改善等の有効性も探索的に評価する。
01主な選択基準
対象患者(対象疾患) | 心不全を呈する拡張型心筋症の患者で、現治療で症状改善が見込めない NYHA 分類がIII又はIVの患者(僧帽弁置換、僧帽弁形成、三尖弁形成など合併手術を計画している患者は除く) |
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選択基準 |
以下の基準をすべて満たす患者を被験者として選択する。 ・本人の自由意思による試験参加の同意を文書で得た患者 ・同意取得時の年齢が満 20 歳以上、75 歳以下の患者 ・心不全に対する 3 ヶ月以上の最適な薬物内服治療(ACE 阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬、経口強心薬など)にもかかわらず、心不全症状が持続し、現治療による症状改善が見込めない患者 ・NYHA分類がIII又はIVの患者、及び INTERMACS Profile の Level 4~7 の患者 ・心エコー検査で、LVEDD≧60mm もしくは LVEDDi≧30mm/㎡の患者 ・心臓超音波検査もしくは RI 検査でLVEF≦35%の患者 ・MRI 又は造影 CT 検査で、RVEDVi≦170mL/㎡の患者 ・フォローアップ検査・観察に従う意思があり、実施医療機関に来院可能な患者 |
除外基準 |
以下のいずれかに該当する患者は除外する。 ・過度に心拡大をきたしている患者(LVEDD>85mm) ・高度に左室機能の低下した患者(LVEF<10%) ・過去に心臓手術歴のある患者(但し、心嚢液貯留があり心臓周囲の癒着が軽度と考えられる患者はその限りでない。ICD、ペースメーカー植込み手術は除く) ・他の心臓外科手術を予定している患者 ・CABG歴がある、又はCABGを予定されている患者 ・術前3ヶ月以内で、PCI又は経心筋レーザー血行再建を実施した患者またはその候補患者 ・IABPを実施している患者 ・NYHA分類がⅣで補助心臓装置適応患者及び心臓移植を希望する患者 ・術前3ヶ月以内で、両心室ページング(CRT(ICD、ペースメーカー植込み手術を含む))を実施した患者又は今後CRTを予定している患者 ・余命1年以内が予想される患者 ・外科手術リスクが増大した最終ステージの心不全患者 |
02研究方法
- 各共同研究施設(5大学)において同意の得られた対象患者に対して、心臓画像およびカテーテル検査より設計されたテイラーメイド方式心臓形状矯正ネットを作成し、全身麻酔下に装着する。
- 6か月後の心機能、心臓リモデリング効果、QOL、耐運動能評価を行い、有害事象、有効性の評価を行う。
- 名古屋大学では治験事務局を担当する。
臨床研究3例のまとめ
CLINICAL DATA
- 心臓移植適応から外れた65歳以上のNYHA-III拡張型心筋症患者3例にテイラーメイド方式心臓形状矯正ネットを装着した。
- 試験機器に関する有害事象発生はなかった。
- 心機能は手術後半、ICU滞在中に改善が見られた。
- 術後24週での評価で、肺うっ血の著明な改善、運動耐容能の大幅な改善が得られた。運動能の改善は術後1年においても維持された。
- 2022年4月現在、1例目は術後2年5か月、2例目は術後2年、3例目は術後1年1か月を経過し、活発な日常生活を享受されている。
- 全例ループ利尿剤の減量が可能となり、CKDの進行も防止できている。
- 心臓リモデリングの悪化も防止、1例では明らかなReverse remodelingが得られた。
- 試験結果を基にPMDA治験プロトコル相談(探索的治験)対面助言をR3.7.27に実施した。
- 名古屋大学IRB承認 2021年10月28日
- PMDA治験届提出(2021年2月1日)30日調査済
- 全国5大学で探索的治験を2022年5月より開始
- AMED橋渡し研究2021年度PreC採択、2022年1月に追加支援採択
- AMED橋渡し研究シーズCに採択